建設工事保険で約100万円をカバー〈引き渡し前の物件が台風で損壊した宮崎の事例〉
「工事中の現場が災害で被害を受けたら、誰が費用を負担するのか」——建設業に携わる方なら、一度は考えたことがある問いではないでしょうか。
宮崎市内で住宅建設を手がける建設会社が、まさにその状況に直面しました。引き渡し直前の物件が台風による強風・飛来物の被害を受け、損害額は約100万円に上りました。
しかし、あらかじめ建設工事保険に加入していたおかげで、自己負担なく復旧することができました。
本記事では、その実例をもとに「建設工事保険・工事保険とは何か」「どこまで補償されるのか」「一人親方や個人事業主も加入できるのか」をわかりやすく解説します。
台風で引き渡し前の物件が損壊—宮崎市の建設会社に起きたこと
台風通過後、工事現場で何が起きたか
宮崎市内で新築住宅の建設工事を進めていたA社(社員数約20名)。竣工を間近に控え、外壁・屋根工事も完了し、あとは内装の仕上げと施主への引き渡しを残すだけという状態でした。
そこに直撃したのが、記録的な暴風雨を伴う台風でした。翌朝、現場を確認したところ、屋根の一部が損傷し、飛来してきた資材が外壁を傷つけていることが判明。内部にも雨水の浸入があり、仕上げ済みの内装材にも被害が及んでいました。
「完成直前での被害だっただけに、精神的なショックも大きかった」と担当者は振り返ります。しかし、被害確認と並行して保険会社へ連絡を入れたことで、迅速に対応を進めることができました。
損害額は約100万円——建設工事保険でカバーできた流れ
今回の台風被害による損害額は、修復工事費・材料費を合わせて約100万円。引き渡し前の物件に生じた損害であったため、施主(建築主)との関係においても、速やかな対応が求められる場面でした。
A社は工事開始時から建設工事保険に加入しており、保険会社への事故申請・現地調査・損害確認という手続きを経て、保険金が支払われました。
自社から持ち出した費用はほぼゼロ。約100万円の損害を保険でカバーし、引き渡しも予定通りに近い形で進めることができました。
なぜ保険でカバーできたのか?工事保険の基本
建設工事保険・工事保険とは
建設工事保険とは、工事の施工中に発生した不測かつ突発的な事故による損害を補償する保険です。工事完成前の建物・構造物や工事用資材が対象となり、竣工前(引き渡し前)の期間をカバーします。
「工事保険」と呼ばれることもありますが、正式名称は「建設工事保険」であり、建設会社(法人)が加入する損害保険の一種です。火災保険が完成した建物を守る保険であるのに対し、建設工事保険は工事中という”空白の期間”をカバーする保険と理解するとわかりやすいでしょう。
引き渡しが終われば建物は施主のもとで火災保険に加入するのが一般的ですが、竣工前は施主の火災保険も適用されません。建設工事保険はその期間の損害リスクに備えるために不可欠な保険です。
工事保険の主な種類
工事保険にはいくつかの種類があります。
| 保険の種類 | 概要 |
|---|---|
| 建設工事保険 | 建築工事・土木工事など工事の目的物(建物・構造物)に生じた損害を補償。今回のA社が加入していたのはこのタイプにあたります。 |
| 組立保険 | 機械・設備の据え付け工事や組立工事を対象とした保険。プラント建設や大型機械の設置工事などに多く用いられます。 |
| 土木工事保険 | 道路・橋梁・ダムなどの土木工事を対象とした保険。建設工事保険の土木版にあたります。 |
工事の種類・規模・期間に合わせて適切な保険を選ぶことが重要です。
工事保険の適用範囲
補償される主なリスク
建設工事保険が補償する損害は幅広く、主に以下のリスクが対象です。
| リスク種別 | 内容 |
|---|---|
| 自然災害による損害 | 台風・暴風雨・洪水・水害・落雷など。今回のA社の事例もこれにあたります。宮崎県は台風の上陸・接近が多い地域であり、特に重要なカバーポイントです。 |
| 火災・爆発による損害 | 工事現場での出火や爆発事故による損害。 |
| 盗難・破壊行為による損害 | 工事現場における資材・機材の盗難や、第三者による器物損壊など。 |
| 施工ミスによる損害 | 作業員のミスや不注意による損害も、保険の種類・条件によっては補償対象になる場合があります(商品によって取り扱いが異なります)。 |
| 工事用仮設材・資材の損害 | 足場や型枠など工事用の仮設材、工事現場に保管中の資材が損害を受けた場合も対象となることがあります。 |
適用外となるケースと注意点
一方で、建設工事保険が適用されないケースもあります。代表的なものとして以下が挙げられます。
- 設計上の欠陥・施工不良そのものに起因する損害(結果として生じた損害は対象になる場合あり)
- 保険期間外に発生した損害(工事開始前・引き渡し後)
- 自然消耗・経年劣化
- 保険金額を超過する損害の超過部分
保険の適用可否は事故の状況・原因・保険契約の内容によって異なります。不明な点は必ず保険会社または担当代理店に確認することをおすすめします。
自然災害が激甚化する今、工事保険の重要性は高まっている
宮崎県は台風・水害リスクが高い地域
宮崎県は、九州南部に位置し、毎年のように台風の接近・上陸を経験する地域です。近年は台風の大型化・激甚化が顕著であり、以前は「それほど大きくない台風」とされていた規模でも、局所的に記録的な暴風・大雨をもたらすケースが増えています。
また、台風以外にも梅雨時期の集中豪雨による水害リスクも高く、工事現場が浸水・土砂流入被害を受けるケースも報告されています。宮崎で建設業を営む事業者にとって、台風・水害への備えは避けて通れないリスク管理の課題です。
未加入だった場合のリスクと費用負担
もしA社が建設工事保険に加入していなかった場合、今回の約100万円の修復費用はすべて自社負担となっていました。社員数20名規模の中小建設会社にとって、突発的な100万円の出費は経営に直接影響します。
さらに、引き渡しが遅延することで施主との関係が悪化したり、追加工事の手配に時間がかかることで別の工事スケジュールに影響が及ぶなど、金銭的損害以外のリスクも無視できません。建設工事保険は「万が一の備え」であると同時に、安定した事業運営を守るためのコスト管理ツールでもあります。
一人親方・個人事業主も工事保険に加入できる?
法人・個人を問わず加入できる工事保険の特徴
「工事保険は大きな会社だけのもの」と思われがちですが、一人親方や個人事業主でも建設工事保険に加入することができます。保険は工事ごとに加入する「現場単位型」と、年間を通じてカバーする「年間包括型」があり、事業規模に応じて選択が可能です。
一人親方や小規模な個人事業主の場合、工事ごとに保険を手配するケースが多いですが、工事件数が多い場合は年間包括型のほうがコスト面で有利になることもあります。
事業規模別の保険選びのポイント
保険選びにあたっては、以下の点を事業規模に合わせて確認することをおすすめします。
| 規模 | 保険選びのポイント |
|---|---|
| 小規模(一人親方・個人事業主) | 工事ごとに必要最低限の補償額で加入。加入手続きが簡便な商品を選ぶと負担が少ない。 |
| 中小企業(社員数10〜50名程度) | 年間包括型で複数現場をまとめてカバーするのが効率的。今回のA社のようなケースがこれにあたります。補償範囲・免責金額・保険金額の設定を精査することが重要です。 |
| 中堅・大手 | 大型工事・長期工事に対応した特約や、第三者賠償責任保険との組み合わせを検討。専門の保険代理店と連携した設計が望ましいでしょう。 |
いずれの規模においても、「工事を始める前に保険に加入する」ことが大前提です。事故が発生してからでは加入できません。
まとめ:工事中の現場リスクに今すぐ備えよう
建設工事保険は、引き渡し前の工事中に発生したあらゆる不測の事故・自然災害から工事現場を守る保険です。今回の宮崎市の事例のように、台風による突発的な損害が発生しても、保険に加入していれば約100万円規模の損害を自己負担なくカバーすることができます。
自然災害が激甚化する昨今、宮崎県内で建設業を営む事業者にとって、工事保険への加入は「リスク管理の基本」です。一人親方・個人事業主から中小企業まで、規模を問わず加入できる商品が揃っています。
「現在加入している保険の補償内容が不安」「これから工事を始めるにあたって保険を検討したい」という方は、ぜひ一度ご相談ください。
※本記事に記載の事例は、お客様のプライバシーに配慮して一部情報を変更しています。
※保険商品の内容・補償範囲は各保険会社・商品によって異なります。詳しくは担当者へお問い合わせください。


