宮崎の中小企業経営者が知っておきたい「事業承継と保険」|相続税・退職金・万一への備え方
「会社は息子に継いでもらうつもり。でも、引き継ぐときにどれくらいのお金が必要になるのかは、正直よく分からない」――事業承継について、このように感じている経営者の方は少なくないのではないでしょうか。
帝国データバンクの調査によると、2025年の宮崎県の後継者不在率は49.9%でした。県内企業のおよそ半数で、まだ後継者が決まっていないことになります。一方、後継者が決まっている企業では、候補として「子ども」が最も多くなっています。
事業承継というと「誰に継いでもらうか」に目が向きがちです。しかし実際には、自社株にかかる税金、家族間での財産の分け方、経営者に万一があったときの資金繰りなど、「お金」の問題も避けて通れません。
この記事では、宮崎県で会社を経営する方に向けて、事業承継で必要になるお金と、生命保険を使った備え方をわかりやすく解説します。
事業承継で「お金」の問題が起きやすい3つの場面
自社株にかかる相続税・贈与税
中小企業では、経営者自身が自社の株式(自社株)の大半を持っていることが多くあります。経営者が亡くなったり、後継者に株を譲ったりすると、その株には相続税や贈与税がかかります。
自社株は上場株と違って市場で売買されないため、国が定めたルールで評価額を計算します。長年の利益の積み重ねで会社の財産が増えていると、「思っていたよりも株の評価額が高かった」というケースも珍しくありません。株はすぐに現金に換えられないため、後継者が納税資金に困ることがあります。
後継者以外の家族との公平性
経営を安定させるには、自社株を後継者にまとめて引き継ぐのが望ましいとされています。しかし、経営者の財産の大半が自社株の場合、後継者以外の家族に渡せる財産が少なくなってしまいます。
民法では、配偶者や子どもに「遺留分」という最低限の取り分が認められています。遺留分より少ない財産しか受け取れなかった家族は、不足分をお金で支払うよう、多く受け取った相続人に求めることができます。後継者に支払うお金がなければ、家族関係や経営に影響が出るおそれがあります。
経営者に万一があったときの会社の資金繰り
事業承継の準備が整う前に、経営者が急に亡くなったり、病気で働けなくなったりすることもあります。中小企業では、経営者個人の信用で取引や借入が成り立っていることも多く、経営者の不在は会社にとって大きな打撃です。
借入金の返済、取引先への支払い、従業員の給与など、会社を続けるためのお金をどう確保するかも、事業承継で考えておきたいポイントです。
【モデルケース】長男に会社を継ぐときに起こりうるお金の問題
ここからは、架空のモデルケースで、具体的にどのような問題が起こりうるかを見てみましょう。
モデルケースの設定
- 宮崎市で製造業を営むAさん(65歳)。従業員は20名
- 後継者は、会社で働いている長男。長女は県外で会社員をしている
- Aさんの妻はすでに他界しており、相続人は長男と長女の2人
- Aさんの財産は、自社株(評価額8,000万円)と、自宅・預金など(合計2,000万円)の計1億円
※この記事のために設定した架空のケースです。金額は説明のための単純な例で、実際の評価額や税額は個別の状況によって異なります。
Aさんが「会社を継ぐ長男には自社株をすべて、長女には自宅と預金を」と考えていた場合、次のような問題が起こる可能性があります。
問題1:長女の遺留分に足りない
相続人が子ども2人の場合、長女の遺留分は財産全体の4分の1です。財産の合計は1億円なので、長女の遺留分は2,500万円になります。長女が受け取る自宅・預金は2,000万円のため、500万円足りません。長女から請求があれば、長男は500万円をお金で支払う必要があります。
問題2:長男が相続税を払うための現金がない
長男が相続する財産は自社株だけです。自社株にも相続税がかかりますが、株は簡単に現金に換えられません。納税資金を用意できなければ、会社からお金を借りる、株を会社に買い取ってもらうといった対応が必要になり、会社の資金繰りにも影響します。
生命保険で備えるとしたら
例えば、次のような備え方が考えられます。
- Aさんが契約者・被保険者、長男が受取人の生命保険に加入する → 長男が受け取った保険金を、長女への支払いや相続税の納税にあてる
- 会社が契約者・受取人、Aさんが被保険者の生命保険に加入する → 会社が受け取った保険金を、遺族への死亡退職金や会社の運転資金にあてる
どのような組み合わせが合うかは、財産の内容や家族構成、会社の状況によって変わります。次の章で、それぞれの使い道を詳しく見ていきましょう。
事業承継で生命保険が役立つ4つの使い道
1. 相続税の納税資金を準備する
生命保険の死亡保険金は、相続が起きたときに現金で受け取れるため、相続税の納税資金として役立ちます。
また、契約者と被保険者が同じ(例:どちらも経営者)で、相続人が受け取る死亡保険金には、「500万円×法定相続人の数」の非課税枠があります。モデルケースのように相続人が2人なら、1,000万円までは相続税がかかりません。
2. 役員退職金の原資にする
経営者が後継者に会社を譲って引退するときや、経営者が亡くなったときには、会社から役員退職金(死亡退職金)を支払うことがあります。役員退職金はまとまった金額になることが多く、一度に支払うと会社の資金繰りに負担がかかります。
会社が契約者・受取人となる法人契約の生命保険を活用すれば、退職金の支払いにあてる資金を計画的に準備できます。
また、役員退職金を支払うと会社の利益や財産が減るため、自社株の評価額が下がる場合があります。そのタイミングで株を後継者に引き継ぐことで、相続税・贈与税の負担を抑えられる可能性があります。なお、遺族が受け取る死亡退職金にも、生命保険金とは別に「500万円×法定相続人の数」の非課税枠があります。
3. 後継者以外の家族に財産を分ける資金にする
死亡保険金は、原則として受取人の固有の財産とされ、遺産分割の対象になりません。受取人を指定しておけば、確実にその人に資金を渡せます。
モデルケースのように後継者を受取人にしておき、受け取った保険金をほかの家族への支払いにあてる方法は、「代償分割」の資金づくりとして知られています。自社株を後継者に集中させながら、家族間の公平性を保つための方法の一つです。
4. 経営者に万一があったときに会社を守る(事業保障)
会社が契約者・受取人、経営者が被保険者となる生命保険に加入しておけば、経営者に万一があったとき、会社が保険金を受け取れます。借入金の返済や当面の運転資金にあてることで、後継者が落ち着いて経営を引き継ぐための時間を確保できます。
保障額は、借入残高や毎月の固定費、役員退職金の予定額などをもとに考えるのが一般的です。
4つの使い道のまとめ
| 目的 | 主な契約形態 | 保険金の受取人 | ポイント |
|---|---|---|---|
| 相続税の納税資金 | 個人契約(契約者・被保険者=経営者) | 後継者など | 非課税枠を活用できる |
| 役員退職金の原資 | 法人契約 | 会社 | 退職金の支払いで会社の資金繰りを圧迫しない |
| 家族への財産分け | 個人契約 | 後継者(代償分割の場合) | 受取人を指定して確実に資金を渡せる |
| 事業保障 | 法人契約 | 会社 | 借入返済や運転資金にあてられる |
保険で事業承継に備えるときの注意点
契約形態によって、かかる税金が変わる
同じ生命保険でも、契約者・被保険者・受取人の組み合わせによって、受け取った保険金にかかる税金の種類(相続税・所得税・贈与税)が変わります。例えば、契約者と被保険者が経営者で受取人が子どもの場合は相続税の対象ですが、契約者と受取人が子どもで被保険者が経営者の場合は所得税の対象になります。目的に合った契約形態を選ぶことが大切です。
「節税」だけを目的にした加入には注意
法人契約の生命保険には、かつて保険料の多くを経費にできる商品があり、「節税対策」として広く利用されていました。しかし2019年に経理処理のルールが見直され、解約したときに戻るお金(解約返戻金)が多い保険を中心に、保険料の一部を資産として計上する仕組みになりました。
保険は本来、万一に備えるためのものです。節税効果だけで判断せず、事業承継のどの課題に備えるのかをはっきりさせてから加入を検討しましょう。
年齢や健康状態によっては加入できないことも
生命保険は、年齢が上がるほど保険料が高くなり、健康状態によっては加入できない場合もあります。事業承継の準備は、経営者が元気なうちに早めに始めることが大切です。
税金の計算や制度の手続きも確認を
自社株の評価や相続税の計算、株の引き継ぎ方、事業承継税制(一定の要件を満たすと、自社株にかかる相続税・贈与税の納税が猶予・免除される制度)の活用などは、顧問税理士にも確認しながら進めましょう。
事業承継に向けた保険の見直しチェックリスト
次の項目を確認してみましょう。
□ 後継者が決まっている、または話し合いを始めている
□ 自社株のおおよその評価額を把握している
□ 会社と個人それぞれの保険について、契約者・被保険者・受取人を把握している
□ 保障額が、借入残高や役員退職金の予定額に見合っている
□ 役員退職金規程を整えている
□ 保険の解約返戻金が多くなる時期と、引退を予定している時期が合っている
□ 自社株を誰にどう引き継ぐか、家族と話したことがある
一つでも「分からない」「まだ考えていない」項目があれば、保険代理店に相談してみることをおすすめします。
宮崎県で事業承継を相談できる窓口
事業承継の悩みは、内容によって相談先が変わります。
- 宮崎県事業承継・引継ぎ支援センター:事業承継全般や、後継者がいない場合の第三者への引き継ぎ(M&A)などを相談できる公的機関です
- 商工会議所・商工会:経営全般の相談や、各種支援制度の案内
- 税理士:自社株の評価、相続税・贈与税の計算、事業承継税制の手続き
- 保険代理店:納税資金や役員退職金、経営者に万一があったときの備えなど、「お金の準備」の相談
保険代理店では、今加入している保険が事業承継に役立つ内容になっているかを確認し、必要に応じて見直しをご提案できます。
まとめ
事業承継は、「誰に継ぐか」と同じくらい、「お金をどう準備するか」が重要です。自社株にかかる相続税、後継者以外の家族への配慮、役員退職金、経営者に万一があったときの資金繰り。こうした課題には、生命保険で計画的に備えられるものがあります。
ただし、保険は契約形態によって税金の扱いが変わり、年齢や健康状態によっては加入できなくなることもあります。「まだ先の話」と思っているうちに、一度、今の保険の内容を確認してみてはいかがでしょうか。
よくある質問
Q. 法人契約と個人契約、どちらで保険に入ればよいですか?
A. 目的によって異なります。会社を守るための資金や役員退職金の準備には法人契約、相続税の納税資金や家族への財産分けには個人契約が使われることが一般的です。両方を組み合わせて備えるケースも多くあります。
Q. 後継者がまだ決まっていなくても、準備を始めたほうがよいですか?
A. はい。経営者に万一があったときの備えや役員退職金の準備は、後継者が決まっていなくても始められます。年齢や健康状態によって保険に加入しにくくなることもあるため、早めの検討をおすすめします。
Q. 今入っている保険を、事業承継向けに見直すことはできますか?
A. できます。契約者や受取人の設定、保障額が今の借入残高に合っているかなどを確認します。ただし、解約や乗り換えは、解約返戻金が減ったり保障が途切れたりすることがあるため、慎重に検討しましょう。
Q. 後継者がいない場合でも、保険は役に立ちますか?
A. 会社を第三者に引き継ぐ場合や、廃業を選ぶ場合でも、引退時の役員退職金の準備や、経営者に万一があったときの借入返済などに備えることができます。
まずはお気軽にご相談ください
宮日商事は1969年の創業以来、宮崎県内で保険代理店業を続けてきました。宮崎市・都城市・日向市・日南市・高鍋町の県内5拠点体制で、地域の企業様と経営者様のリスクに向き合っています。
特定の1社に限定されない乗合代理店として、複数の保険会社の商品を比較しながら、会社の状況やご家族の構成に合わせた備え方をご提案します。
「事業承継はまだ先の話」という段階でも構いません。現在加入中の保険証券をお持ちいただければ、事業承継の視点で契約内容を一緒に確認します。
Web問い合わせフォーム:ご都合の良い時間にご相談内容を送信いただけます
保険のお役立ち情報を
LINEでもお届け
宮日商事 公式LINE
友だち募集中!
- 保険の見直しに役立つ最新情報をいち早くお届けします
- キャンペーンやお知らせもLINEでチェックできます
スマートフォンで読み取り


